銀マット賛歌

素晴らしき旅の友

アウトドアショップで売っているマットのうち、一番コストパフォーマンスが良いものと言えばもちろん、案外アウトドアショップに売っている全商品のうちでも最高位のコストパフォーマンスを持つのは、銀マットではなかろうか。くるくる巻かれて売り場の隅に積まれている、あの憎めない奴だ。
個人的な意見ではキャンプにマットは必須とまではいかなくとも、持って行くのを忘れた場合はどこかのDIYショップで必ず購入するレベルのアイテムである。そういうのをつまり必須と言うのではないかと言われたら全くその通りなので、「個人的には、マットはキャンプの必須装備だと考えている」と言い直そう。確かに、なくても寝られる。寝られるのだが、一度マットの素晴らしさを知ったが最後二度とマット抜きのキャンプなどあり得ない*1
さて銀マット。正式名称不明のくせに妙に役に立ち、高性能。空気膨張式マットの1/10以下の価格でありながら、マットとして同等以上の性能を持つ。カスケードデザイン社の人気商品、サーマレストと比べればもはや1/20以下の価格である。さすがに収納サイズは膨張式のマットに敵わないが、それでもせいぜい1.5倍程度だ。性能はほとんど変わらないのだから、気分の問題を除けば銀マットは完璧である。こんなに安い素晴らしいマットがあるのに、なぜ膨張式など買うと言うのか*2
寝て良し座って良し、軽くて丈夫で長持ち、万一なくしても惜しくない。考えれば考えるほど銀マットは素晴らしい。数百円で買えるくせにこれほど重宝なアウトドアグッズがいったい他にいくつあるだろう。だいたいアウトドアグッズというのは総じて破廉恥に高いのである。膨張式マットの値段を見ればよくわかるが、客を舐めているとしか思えない。一万数千円も出せば安いベッドを探せるではないか。あんなのは買ってはダメだ。

*1:というのも、マットの機能として「路面の凹凸の緩衝」があるのは誰でも思いつくのだが、実は「断熱保温」という機能も意外と重要なのである。春や秋口の明け方には、テントの床から冷たい湿気がじんわりと寝袋にしみ込んでくる。冷たくカビの匂いのする湿気の中でなど、とても寝られたものではない。寝る場所を選べばいい夏場はともかく、春秋の冷え込みが厳しいシーズンには、マットは必須と言って良い。

*2:と思って調べてみたところ、なるほど売れ筋の膨張式マットは、「腰より上サイズ」等々のラインナップにより、銀マットより圧倒的に小さな収納サイズを誇っているらしい。つまり収納サイズが小さいと言えば聞こえは良いが、収納サイズが断然小さい膨張式は、一般的な銀マットより、広げた面積もまた断然小さいのだ。コンパクトなのは当たり前である。たとえ少々寝心地を犠牲にしても必要最小限に小型軽量化、という方向はバックパッカー等の人々にとっては大事なことなのかもしれないが、ツーリングライダーにとって、いや少なくとも私にとっては、それほど重要なことではないし、何より高価すぎる。