諸聖人の日

 有名な人も無名な人も、すべての聖人をまとめてお祭りする日。カトリックはある意味で日本の仏教と同じで、徳をつんだ偉いお坊さんたちは死後仏(聖人)になって祭られる。ただし、いちおう一神教なので「祭る」というと語弊があるため、彼らを尊敬して神への取りなしを期待する、という建前である。
 一時は誰でもわりと簡単に聖人になってしまった。民衆に人気がある人物をホイホイ聖人にしたてて行ったため、教会内部でも収拾がつかなくなる。外からは新教一派にボロカスにいわれ、さすがに烈聖基準が引き締められるまで、何万という聖人が生まれたらしい。
 一方で、下世話な話題とは別に、「無名の聖人たち」というものも存在すると考えられている。つまり、誰にも知られることはなく、ゆえに聖人として称えられることはなくても、立派に生きて立派に去っていった人々。総数としては、おそらく、こちらのほうが圧倒的に多いだろう。
 ニコマスでも同じことだと思う。今日この日を機会に、全ての職人たちに感謝を送る。