ニュー・ニコマス・パラダイス 完結

　ニュー・ニコマス・パラダイス・シリーズのフィナーレを飾るニコパラ０。
敷居の原住民さんがノーチェックだったことに衝撃を受けて紹介記事を書きます。

　
【愛m@s24】ニュー・ニコマス・パラダイス
　木曜洋画劇場Ｐ　嘘字幕シリーズ　37分　2008/06/14
【概略】
　ニュー・ニコマス・パラダイス・シリーズは、アイマスMAD界隈の変遷を描く、自己言及的なアイマスMAD作品です。過去から現在、未来に至るまでの三部作で構成され、封切り順は１（現在）→２（未来）→０（過去）と前後しています。
　タイトルから予想される通り、『ニュー・シネマ・パラダイス』を題材にしたパロディ作品に過ぎません。しかし、劇場に見立てられたニコニコ動画、主役の若きMAD作者などの高い設定の親和性、適宜モンタージュされた構成の妙と、なによりドラマチックなプロットは、ある意味で原作を越えた感動をもたらしてくれます。
　アイマスMADに興味を持っている人なら誰しも、この作品のどこかに自分を見いだすはずです。アイマスMADが何かを知らない人も、この作品にその答えを見つけるでしょう。そして、この優れたパロディ作品自身が、パロディであるために、何時削除されるか分からない事実こそ、アイマスMAD世界の抱える皮肉な運命であり、それが、その中で語られる小さな悲劇の本質でもあるのです。
　問題に言及する問題。あらゆる皮肉の末に、わけのわからんレベルで現実化した、傑作です。

【ニコマス】
　ゲーム『アイドルマスター』を元にした創作動画を広くアイマスMADと呼びますが、特にニコニコ動画で公開され、ストーリーや設定、また表現技術など、独自の発展を遂げたアイマスMAD作品群が一般に”ニコマス”として定義されます。時にそのファンや制作者を包括する世界全体を指すこともあります。つまるところ、”アイマスMAD界隈の現象”とほぼ同義だと考えて良いようです。

ニュー・ニコマス・パラダイス１
【愛m@s24】ニュー・ニコマス・パラダイス 1　←ニコ動画非会員はここから

　　

　新進のアイドルマスターMAD（改造動画）作者トト。
ベテランプロデューサー・アルフレードのもとで経験を積み、様々な動画を製作。
本格的に人気アイマスMADプロデューサーの階段を登って行く。

　　

　１ヶ月ごとに新作が提供されるDLC（ダウンロードコンテンツ）衣装。
すかさず動画を投稿する作者はジェバンニと呼ばれ、皆の好意と尊敬を集めた。
盛んな投稿、新規参入する有力なMAD制作者。空前の賑わいを享受するニコマス。
一方で「アイマスMADとは」等の線引き議論が盛んになり、界隈は徐々にきな臭くなる。

　　

　事件は突然に起こった。複数の人気プロデューサーたちの商業活動が、
アイマスMAD世界を危機に晒すものとして大きな批判を浴びる。
著作権的にグレーなMAD文化を保つために、世間を刺激することは
可能な限り避けられなければならない･･･。結局のところ反論できる人はいなかった。

　　

　事件にショックを受けたトトは、アマチュアとしての動画作者引退を決意。
彼を引き留めず、プロとしての心構えを説くアルフレード。
「プロでは素人の技など通じない」「さようならトト！」。
トトがニコニコ動画に戻る日は、ずっと後のことになる。

（ニュー・ニコマス・パラダイス１部完）

ニュー・ニコマス・パラダイス２
【愛m@s24】ニュー・ニコマス・パラダイス 2

　数十年後、本当のプロとしてニコニコに戻ってきたトト。
アルフレードは既に亡く、またニコニコ動画はその役割を終え、廃棄の日を待つ。

　　

　　

　　

　　

　　

　　

ニュー・ニコマス・パラダイス０
【愛m@s24】ニュー・ニコマス・パラダイス 0

　　

　　

　　

　Questo cinema per voi!

　なんだか記事書いてるうちに辛くなってきました。ポケットの中の戦争だったんだなあ。
　原作『ニュー・シネマ・パラダイス』へのオマージュに溢れながら、全く異なる作品として完成したニュー・ニコマス・パラダイス。ニコマスファンにとっての、ニコ動の歴史の物語でもあって。あの日々、それは悲しいくらいに幸せな楽園でした。

　

　ニコニコに神の祝福がありますように。