MERRY

アニメイトへ『Christmas for You』を買いに行くついでに三条河原町の教会に寄った。ザビエルゆかりの古い教会で、旧建築は明治村に移築された京都教区の司教座聖堂でもある。入り口階段脇の聖母子像が面白い。どう見ても大阪のおばちゃんという感じのマリアがこれまた無駄に腹の据わっていそうなキリストを抱いてニカッと微笑む。新任教諭泣かせの腕白というか、『兎の目』あたりに活躍できそうな感じ、間違っても世界を救ってくれそうなありがたみはない。前で足を止める人も少なく、いつも通り過ぎる人をニカニカ眺めているだけの聖母子像の足下に、今日は三つ編みを一筋ぺろんと後ろに垂らした女の子が遊んでいた。僕と入れ替わりに御堂から現れて彼女を呼ぶ女性陣の言葉は僕の知らない響きで、風貌からすると木屋町の風俗店で働く東南アジア系の女性に見える。町内運動会を彷彿とさせる「祝！ご降誕」の飾りが設えられたアーチをスキップしながらくぐっていく彼女の後ろ姿を見送り、僕の鞄の中のCDを思い起こす。ラストナンバーはメリー、クリスマスソングなのにサンタではなく父母に感謝する変な歌である。かといって悪い内容ではない。むしろ時代錯誤なくらい前向きな歌で。ここは不思議な国だ。まったく、アリスどころではない。