あたしたちのリアル

日本人は文盲率が異常に低いので勘違いしがちなのかもしれないが、文字が読めることと文章が理解できることは全く違うことだし、同じ文章を読んだ場合でも各々がそれに与える価値の程度は自然に異なる。自分と同じものを目にした他人がおよそ同じ内容を理解していると考えることは教育水準や思想傾向の似通った少数のグループの中で、しかも入念な議論を通した末の冒険だ。文盲率の高い社会では字を読めることがすなわち少数の教養人を意味するためこの冒険の乱暴さは比較的低いが、「とりあえず字は読める」人々が多数派を占めたような社会においてこれは自殺行為に等しい。またそれぞれの解釈が必ず異なるにも関わらず、それらの価値に客観的序列をつける術を持たない(あるいはそれを否定する)ために広く叫ばれるセリフが「読み方は人それぞれ」であり、教養という科目を高校生に毛が生えた程度の動物が代返で取得すべき位置に置いてしまった日本の大学制度の致命的過誤の産物と言える。かもしれない。マーメイ。