ニコニコ記念碑

いやもう、コメントを見るためにだけにでもニコニコへ行く価値のあるMADですよ!

影山P 「団結」 IM@S ALLSTARS

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1310613
『団結 iM@S ALLSTARS』の何が凄いって、アイマスMADの全てのおたのしみ要素が詰め込まれていることでしょう、しかも、無理なくさりげなく。つまり、歌、ダンス、そしてコミュニケーションシーンの軽妙な掛け合いと、明快なキャラクター紹介。さらに付け加えると、「クチバシつけて歌います」に見られるように、ユーザーコミュニティに対する公式サイドの好意的な姿勢が言及されているのもポイント。まさに製作側、ファン側のコラボレーションの極地なのです。「そうそう、これがProject iM@S♪」って感じじゃないでしょうか。また一つ、歴史的な作品がニコニコに刻まれた瞬間だと思います。

なんて、理屈じゃなくて、楽しいMADですよね。



止せばいいのに理屈。

1)歌とダンス
ごらんの通り、アイマスMADには、対象に選んだ曲に自由に入り込み、知らないうちにアイマスMAD以外の何物でもないものにしてしまう変な能力を持ちます。ただし、元の曲を破壊するわけではなく、一種の共生関係を結んで、より楽しい、謎のエンターテイメント空間を生み出すのです。

原曲(『ビューティフル塊魂』というゲーム使用曲)歌手が『アイドルマスター』のアイドル陣(の声優)ということで、もともとアイマスMADとの相性は最高なのですが、それでも見てください、この動画、既にアイドルマスターの公式プロモーションにしか見えないのでは。しかも同時に『ビューティフル塊魂』も遊びたくなります。

2)コミュニケーションシーン
ゲーム『アイドルマスター』の内容は、アクションゲーム的なオーディション&ムービーシーンと、日常のコミュニケーションである会話や営業作業に大分されます。一般に「コミュ」と呼ばれる、後者の会話部分を上手に動画に組み込むことで、このMADはただ一曲の中だけで、キャラクターごとの性格付け(”プロフィール”だけではなく!)を、生き生きと説明しました。ここまで自然に組み込めたのは、もちろん元々の曲自体に会話シーンがあるからなのですが、それにしたって凄いことです。

3)メーカーサイドからの愛情
上記のコミュシーンの挿入にも関わることですが、この原曲自体がアイマスMADの作成をそそのかしているとしか思えない部分があります。そもそも曲に会話シーンがありますし、しかも、例えば如月千早の「クチバシつけて頑張ります」というセリフは、アイマスMADでは定番のイメージであって、アイマスMADへの言及である可能性が極めて高いように思われます。
というのも彼女の持ち歌『蒼い鳥』について、「ニワトリかアヒルかなにかのクチバシをつけて千早が踊る」というMADが以前たくさん製作されました。『蒼い鳥』自体は、進むべき道の相違から愛する人との別離を表明する至って真面目な歌なので、そのギャップがより面白可笑しく際だっていました。

4)ユーザーサイドからの愛情
これについては何も言うことはないでしょう。18日の発売から僅か1日で制作されたこのMAD。地味ながらツボを押さえた、実に丁寧で愛の溢れる作品に仕上がっています。なによりも、ニコニコ動画のコメントがみんな本当に楽しそう。「中毒じゃないけど、歌詞は全部覚えた」「五時間聞いてるけど何が楽しいのか全然理解できない」なんて、いかにもニコラーらしい褒め言葉じゃないでしょうか。「β時代の雰囲気を思い出した」ってコメントも、なんだかほのぼのしています。

5)ニコニコ動画
そう、この動画は、知ってる人はもっと、知らない人も何となく、みんなでニコニコできる、『ニコニコ動画』って空間を体現したような作品になっているのです。18日のニコニコ動画のマイリスト登録一位、普段アイマスMADに興味のない層の琴線をくすぐったことも間違いありません。

アイマスMADというコミュニティを越えて、ニコニココミュニティをニコニコさせたことは、きっとこの動画に込められた歴史の力、それはMAD制作者たちの情熱であり、ファンとメーカーの好ましい関係であり、アイマスMADを愛した多くのニコラーの愛情であり、それはつまり、ニコニコ動画という場の生み出した歴史の力なのでしょう!
その力がニコニコという空間をさらに越えて、もっと広く広がっていく日が早く来ますように。