記憶:ノーマルPVの再評価 - 素人視点のアイマスMAD -



id:hunirakuniraさんの10月6日付記事、「原曲MADブーム到来の予感!」を見て思ったことを素人視点から。
純正ゲーム曲を使用、あるいはそれに準じる曲による作品、といったMADを再評価すべき時ではないかという意見。
結論から言うと、賛成です。
(乱暴に説明すると、アイマスMADには「ゲーム内曲使用」と「それ以外の曲使用」のものがあり、ここでは前者を再評価しようという動きについての話。なお、今回取り上げた動画のうち、「パーフェクトスター」、『太陽のあずさ』、『アイ♡マス?』の三点が一般曲使用作品であり、下記「コラボMAD」という呼ばれ方に当てはまります。華々しい演出効果、キャッチーな雰囲気で、一目瞭然かもしれません。もし未体験の方でしたら、暇つぶしに聞き比べて見てはいかがでしょう? 「アイマスMAD」に関しては10月3日付記事で→リンク
http://d.hatena.ne.jp/hunirakunira/20071006/1191629204

アイドルマスターに元から入っている原曲の動画(ノーマルPV)って、なかなか見る機会がなくなってるじゃないですか。
それこそアイマス動画最初期の、「いかに原曲のステージの自然なカメラワークを競うか」という時代から見てる廃人にとっては、
「その道は2000年前に我々が通過している!」
という世界なわけで、とんと足が遠のいてると思うんです。
また、最近この世界を知ってしまった人からしたら、「コラボMAD=普通」という認識を持ってられる可能性が高いと思うわけで、
「ノーマルPVですか‥‥地味ですな」
みたいな感想をコラーーーーー!!!!!
基本を疎かにしてはイカンとあれほど口をすっぱくして言ってねえやそういえば!


最近この世界を知ってしまった人の意見、ということで。


僕自身、id:sikii_jさんと飲みに行き、日本酒を大量に摂取し(お店の人に「日本酒大会」と言われた)、そのテンションでアイマスMAD観賞会に突入した結果、唐突にこちらの世界にデビューしたわけですが、そのときのことを覚えていますとも。9月17日。
酔いも回り、いい具合にだらけモード(有り体に言えばぐでんぐでん)だった僕に何気なく紹介されたアイマスMAD、ほうほう可愛いな、アニソン最高だな、なんてぼんやり考えていた最中。『PERFECT STAR PERFECT STYLE』。衝撃でしたね。


わかむらP PERFECT STAR PERFECT STYLE

http://www.nicovideo.jp/watch/sm884069


ナナナナ、ナニこれ。STAGE6版で画質音質共に最高(またONKYOの良いアンプ入ってるんだ)だったわけですが、これでアイマスの印象を底から覆されました。むしろ、こんなものが無料でサービスされているニコニコという空間に圧倒されたと言っても良いかも知れません。考えてみたら、あれからまだ一ヶ月も経ってないのか。いやはや。

横道。確かに僕のアイマスMAD趣味を決定づけたのはコラボMAD、それも(今だから分かるわけですが)伝説的最高峰の一つでした。翌日9月18日の日記にはありありと僕の興奮状態が示されております。いきなりニコニコプレミアムに入っちゃったのもこの日。
http://d.hatena.ne.jp/hajic/20070918

音楽に合わせてポリゴンが踊る
なんでこんなもんにちょっとときめいたりするのか、僕の頭の中のしくみがよく分かりませんが。
一つだけ確かに言えることは、アイマスMADには妙な中毒性がある、ということです


ただ、実際のところその三日後、既に9月21日の時点で『蒼い鳥ACM』に撃沈(colpito&affondato)されてるわけで、新しく入った人=ノーマルPVはダメってわけでもないんじゃないかと思います。まあ、一般化はできないでしょうけれど、やっぱり良いものは良い。*1 
http://d.hatena.ne.jp/hajic/20070921


逆に、正直に言うと、個人的にあまりど派手な演出は好みではなかったり。例を挙げるなら『太陽のあずさ』は初見したときちょっと「うっ」と来ました。曲自体が素晴らしいので、最後まで見れば誰でも好きになるとは思うのですが、イントロから序盤にかけて、正直言って少々くどいのではないかと。


RidgerP Destiny -太陽のあずさ- 永遠の20歳

http://www.nicovideo.jp/watch/sm571193


同様のことを、周囲の一般人(たぶん)に『隣に...PV Ver.』を紹介した時に感じました。「なんか、いかにも手作りって感じ」――いや、実際手作りなんですが、まあ、有り体にいえば、引いてしまうとのことです。ついでなので台湾製の『描いてみた』と比較したところ、こちらの方が好みであるとの答え。*2

演出が嫌いというわけではありません。特に、いかにもアニメ的な演出は、見慣れていることもあって全く違和感がない。『ロケットガール』などでは、ハルヒのOPと同種の感動を覚えてみたり、『アイ♡マス?』などアニメOPそのまんまのMADに悶絶してみたり。*3 *4

ただ、演出の粋を尽くしたMADがデコレーションドレスだとしたら、目立つ演出が薄く、ゲーム動画の良さを生かしたMADはシンプルなカクテルドレスのような味わいと言うか。シンプルなだけに素材の良さが引き立つような――もちろん、千早の胸がどうこうなんて言うつもりはまったくなく。ストンと下に落ちる心配なんて全然。


しーなP キラメ☆キラリ リハーサルVer.

http://www.nicovideo.jp/watch/sm579656


その意味で、もともとゲーム曲として存在する曲目、キャラクターソングCDとして発売されている曲目は、言うまでもなくアイドルマスターという世界のキャラクターのために作成された曲ですから、実際のところノーマルPVに適してる(当たり前)のだと思います。ただし、id:hunirakuniraさんも仰るとおり、既に一度消費された曲目でもあり、制作者のセンスが厳しく問われることもまた間違いないでしょう。


それでも、磨き上げられたノーマルMADは、ランキングに登場こそしないものの、いまだに『ふたりのもじぴったん』や『Go My Way』が根強い人気を持っているように、全くの定番となるポテンシャルを秘めています。そしてこれらの曲目が、アイマスMAD界隈以外の舞台でも活躍していることには十分注目する価値があると思います。案外、最終的にメジャーになるのは、原曲使用のMADなのかもしれません。*5


たぴ・ぱん

http://tn-skr.smilevideo.jp/smile?i=1225762


そろそろまとめに入りましょう。アイマスMADを代表する作品、初心者に圧倒的な衝撃(それこそ没入してしまうような)を与え得る作品は、『とかち』*6という例外はあるにしても――あれは功罪がありすぎます――おそらくノーマルMAD以外であることが多いでしょう。
けれども、それはけして初心者がノーマルPVに対して興味を持たない、ということには繋がらない、というのが僕の意見です。むしろセンスの良い、素材を生かしたノーマルPVは、アイマスMADという世界の奥深さ、アイドルマスターというゲームのすごさ、そういうものを肌身に感じさせる契機にさえなるんじゃないでしょうか。
9月21日、実際に僕が『蒼い鳥ACM』に轟沈された時のコメントを引用しておきたいと思います。

このおーつばさもーがれてはー。なにこの正統派。
脱帽です。アイマスすごい。万歳。あばばばば。


maszushiP 蒼い鳥 千早 あずさ 真 音質重視

http://www.nicovideo.jp/watch/1175523641


バカだ。バカがいる。しかし、僕はまさにこれで完全にこっちへ転んでしまいました。9月25日には素人ながらニコニコアイマスMAD界隈のキャラクター紹介記事を書き、暖かいコメントや激励を多数頂戴。その後今日に至るまでの経緯は、皆さんご存じの通りです。ほとんど蒼い鳥のせい。B72のせい。
http://d.hatena.ne.jp/hajic/20070925/p1


つまるところ、ノーマルPVはアイマスMADの真髄の一つの側面であると僕は思い、ゆえに、今はあまり顧みられなくても、今後大きく(あるいは地味に)見直される機会があるんじゃないかというid:hunirakuniraさんの意見には大賛成です。ことに、まもなく訪れる大イベント、クリスマスを控えて、例えば『神さまのBirthday』なんか、おおかたの人には今更でしょうけれど、それでも見返す価値があるんじゃないかと思います。あれは良いものだ。キシリアさまにー。


RidgerP 神さまのBirthday

http://www.nicovideo.jp/watch/sm184440


ところで、アイマスMADを人に紹介する時は、良い音響設備を持っている人が直接行う方が良いと思います。特に安価な純正スピーカーでの視聴は、せっかく興味を持っている人さえ追い返す危険性があり、またPCユーザーの大半が純正スピーカーを使用していると予想されるため、ネット経由での布教はあまり期待できない(あるいは逆効果)ようにも思います。

あと、意外と忘れがちなのが、ニコ動使用者のうちでプレミアムに入っている率はけして高いものではないという事実でしょう。どんなに素晴らしいMADでも、混雑時の低画質では魅力がぐっと削がれることは間違いなく、また読み込みの遅さがそもそも視聴さえ妨げているという可能性も否定できません。

アイマスMADの布教の道は遠く険しいですが、わかる人はきっと分かるはず。あらゆるプロデューサー、そして先達に感謝しながら、新規の人を開拓していきたいと思っています。みんなでニコニコすれば、きっともっと楽しい。

*1:http://www.nicovideo.jp/watch/1175523641 『蒼い鳥』(ニコニコ動画

*2:http://www.nicovideo.jp/watch/sm1036128 『隣に...MA07販促』、 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1176129 『隣に...を描いてみた』(共にニコニコ動画

*3:http://www.nicovideo.jp/watch/sm611444 『ロケットガール』、 http://tn-skr.smilevideo.jp/smile?i=1188413 『アイ♡マス?』(共にニコニコ動画

*4:逆に、アニメを見つけない人にとっては、この手の演出はよっぽどセンスの良いものでない限り「アニメじゃん」と言われて終わりという危険もあるでしょう

*5:http://www.nicovideo.jp/watch/sm346605 『こっそりと』、 http://www.nicovideo.jp/watch/sm486427 『やよい ごまえー』 (共にニコニコ動画

*6:http://www.nicovideo.jp/watch/sm241 『とかちラーメン大盛り 〜望みの限りに〜』(ニコニコ動画)といっても、誤解しないでください、僕がとかちを嫌いというわけではなく、あれで「もうアイマスMADは飽きた」と思いこんだ人は多いはず、という意味なのです。http://www.nicovideo.jp/watch/sm15359 『エージェント夜を往く とかち増量キャンペーン中』など、その後も素晴らしい洗練を加えられている姿を見ると、やはり名曲なのだなあと感慨しきり。