ハルヒのアニメ

何も知らず呑気に見ていたらSFだった。表紙に釣られて買った『タイム・リープ』が理詰めの話で実にびっくりしたときの感慨を思い出す。概念のパズルがそこかしこでぴたりぴたりとはまっていくことはそれぞれの瞬間において十分エキサイティングだし、そうしてつながった物語がオセロのようにくるりと色を変えることは何にもまして素敵な体験。そこからは確かな構造と装飾、そしてそれらを貫く明確な意志が感じられる。

あらゆるものから意味を読み取る快感と、あらゆる意味をある意志に目がけて収束していく快感。こんな喜びを与えてくれる作品はあまりない。どうして日本のおたく文化は時折こんなものを生み出すんだろう。すべての事象に意味があるのだという観念を縁ではなく因果で解釈する手法は明らかに東洋的ではないのに。それが偶然ではなく、必然として選択された手法だとしたら、この文化の意志は一体どこへ向いているのだろう。

などという話はともかく、とても知的な興奮を呼び起こしてくれるシリーズだと素直に感心する。個人的にSFは好きではない。ミステリもいまいちだ。科学は経験以上のものではないし、トリックは誤解以上のものではない。それら自体にはほとんど魅力など存在しないのに、それだけに全力を傾ける作品が多すぎる。けれどこんな作品を見てしまうと、つい自分の意見に疑念を持ってしまう。それなら、この喜びは一体全体なんなのだろうかと。


そして、それは萌えに少し似ている。それは全く空しいのに、確かに僕は幸せなのだ。