ARIA補足 片手袋の彼女へ

私はARIAを嫌いではありません。むしろ、ああいう世界はある意味で私の夢でもある。誰も傷つかない、とても優しい世界。思うに、本当はきっと皆、あの世界が大好きなのです。ただ、それが絶対に手に入らないことを知っているから、ひねくれものとしてはついついイヤミを言いたくなってしまう。だって灯里さんは私たちの絶対に持てないものを持っている。

あるいは、彼女は私たちそれぞれが必ず持っているものを持っていない。それはとてもうらやましいことでもありながら、とても寂しいことであるような気もします。およそ不完全なものたちは、果たせぬとしても完全を目指すでしょう。とても辛いことではあるけれど、だからこそ存在の意味が生まれる。では最初から殆ど完全なものは、いったい何を目指せばよいのやら。