「ジャジャ降りや」


シンフォニック=レイン DVD通常版


先日シンフォニック・レインを勧めた知り合いのアニメーター氏曰く。
ファン冥利に尽きるというものです。


…彼に言われてはじめて気づいたこと。OPシーン最後のコンサートホールのロングショット、こちらを向いて舞台に立っているのはクリスじゃなくてトルタ(あるいは他の誰か、女性)なんですね。通常版は画質があれでさっぱりよく解らなかったのだけれど、愛蔵版バージョンでは何とかスカートをはいているのが遠目にも見えるのでした。カットが変わって映るのはクリスの背中。それぞれの視点とそれぞれの距離、というところでしょうか。以下全く関係のないぐだぐだ。


職業柄? その後、これをどのようにアニメ化するか、という話になりましたが、実際のところ難しいなあという結論。「下手な脚本家に任せたらトルタ萌えーみたいな話にされるで」という彼の台詞が全てというべきか、あの重なりをアニメにする、一つのシナリオで語り終わるためには極めて独創的な方法が求められるでしょう。なにしろ全部描けばよい、という訳ではないくせに、全部描かないと終わらない、というのが事態を致命的にややこしくします。


単純な方法は、ゲーム同様にルートごとに作品を作っていくことでしょう。シリーズ化して、トルタあたりから、順番に。しかしそうすると、今度はBADエンド(あるいはGOODエンド…)の存在が前に立ちふさがることになり、じゃあDVDベースで作って早送り巻き戻しで対応だ、なんてことになると結局のところこれはもう限りなくゲームに近い映像作品なわけで、当然の事ながらテレビ放映はまず無理。


なら一つの画面を大量の小窓に分けて全てのルートを同時に展開したらどうだろう、いやいやそれでは音声がかぶってわけがわからないことになる、それならいっそ何もかも全部字幕で、それむしろゲーム版より後退してるしそもそも歌がないことにはじゃあ好きな画面の音声だけを選択できるように普通のブラウン管でできるのかしら、などと妄想がどんどんふくらむばかりで落としどころなし。いろいろ難しい作品です。