夏期フィレンツェ総括

7月から9月一杯まで市中心部にて過ごしての結論。少なくとも夏のフィレンツェは訪問に値する都市ではありません。ゴタゴタしていて治安が悪く、接客も悪く、暑くて汚くて臭く、下品で、費用ばかりかかり、食事も不味く、浮浪者はウロウロし、ジプシーは「子供に食べ物を〜」と呟いて歩き回り、出来ることと言えばドゥオモの馬鹿でかさにに呆れて立ちすくむくらいです。当然ドゥオモに呆れるのは一年中出来るので、夏にフィレンツェに来る必要性は、一切ありません。


かといって冬はやけっぱちに寒いから嫌だという向きには、5月6月の春期の訪問をお薦めします。こと6月であれば各地の音楽フェスタも訪問することができるので良いでしょう。またこの時期は観光客も比較的少なく、自然に出稼ぎ不法労働者も比較的少なくなり、比較的にのどかに歩き回ることができるはずです。また買い物の面で考えてみても、観光客モードに入る前なので、各店舗も比較的親切に対応してくれるのではないでしょうか。

もちろん、フィレンツェには偉大な歴史の遺産は残っています。文化的にはとても魅力的な街なのです。私はそれを否定しません。ただし、こと夏のフィレンツェは、何か別のものに支配されています。街に溢れるのは半ズボンのアメリカ人と、人にぶつかっても謝らない厚化粧の女性たちと、不法滞在のアルバニア人と、裏道の小便の匂いです。そして残念ながら、文化の香りはどこからも匂ってきません。

今や私には真っ当なイタリア人が夏場こぞって地方にバカンツェに出かける理由が分かります。あんな酷い状態の街に、一月も住んでいたら気が狂うからです。北部同盟独立運動を提唱するのも分からなくありません。不法滞在者はむやみに犯罪件数を増加させ、無教養な貧乏人は道にタバコを投げ捨てるからです。一つの社会の中に存在する、どうしようもない文化摩擦。ファシズムが生まれる土壌を知りたければ、ぜひとも夏のイタリアを訪問することをお薦めいたします。