トマトのしわざ

降り続く長雨のおかげでふやけたプランターのトマトが片っ端から炸裂しているところへ、折悪しく訪れた初夏の嵐の結果、付近は二目と見れない、なかなかスプラッターな有様である。ああ、プチトマトのパスタを楽しみにしていたのになあ。スプラッターと言えばちょうどサン・フェルミンの牛追い祭も始まったことで、今年は何人スプラッターになるのやら。動物保護運動家たちが「ウシの権利を守れ」とかなんとか言ってらっしゃいますが、あの祭はそんな理性的なものではないのです。あれは普通にけが人続出、ぽこぽこ人死にまで出る単なる集団発狂現場なので、ウシに残酷行為がーなんて言っている暇があれば「危険だから止めなさい」とでも言ったほうがまだまし。でもやっぱり聞いてもらえないので腹いせにトマトを投げる風習が運動家の間に始まり、それは現在に至ってトマティーナになった。一方トマトを投げられ頭に来た人々はウシを運動家たちに向かってけしかけるものの、トマトで赤いので逆にウシに追いかけられる。運動家たちは大いに喜んでさらに彼らを追うが、意外と楽しいのですっかり癖になり、それは現在にいたって牛追い祭になった。