シンフォニック=レイン トルタ編  『秘密』

12/25 ナターレ

工画堂スタジオ シンフォニック=レイン愛蔵版


Ad te clamamus, exsules, filii Hevae.
Ad te suspiramus gementes et flentes
in hac lacrimarum valle.
我ら、さすらいのエヴァの子は、あなたを呼び、
あなたに向かって泣き叫ぶ。この涙の谷で。


とても不思議な雰囲気の漂う日。『シンフォニック=レイン』という作品の中で、
この日ほど『神』について触れられる日はない。この日、クリスの想いは普段の日常を離れ、
限りなくあやふやな、しかし限りなく真実のように感じられる何かの周囲を、さ迷う。


”神という存在を普段感じることのできない僕は、こんな機会だけではあるけれど、
こうして教会に来たときだけ、それを強く思い出すことになる”

祈るトルタの横顔に魅入られるクリス
それは僕の恋人の横顔に、あきれるくらいそっくりだった


マルコの指摘を受け、自分たちは他人の目から見て”恋人のように”見えることに気付くクリス。
”どうにも僕は、それがアルへの裏切りのように感じられて、気分が悪くなった”

――の直後、雨が一粒落ちてくる。重大な不思議。
他のパート(リセ・ファル)では、クリスが同じこと(「アルへの裏切りかも」)を考えても、
このような不思議な事件は起こらなかった。どうしてトルタの時にだけ?

「…馬鹿ね。そんなことあるわけないでしょ?」


”そして、神を称える歌は、唐突に始まった”


”トルタは僕にとって、なんなんだろう”
根本的な問いを発するクリス。それはまさに、根本的な問い。
そして彼は、”答えに気づかない振りをした”。


「クリスがきちんと決めて、私に話してくれたら、その時にでもね」
「力になれることなら、なんでもするよ」
「…なんでもするから」


涙の街に、雨は降り続く。


――Eia ergo, Advocata nostra,
illos tuos misericordes oculos ad nos converte.
Et Jesum, benedictum fructum ventris tui,
nobis post hoc exsilium ostende.