シンフォニック=レイン

シンフォニック=レイン DVD通常版


たとえ、人間の不思議な言葉、天使の不思議な言葉を話しても、
愛がなければ、私は鳴る銅鑼、響くシンバル。
たとえ、予言の賜物があり、あらゆる神秘、あらゆる知識に通じていても、
たとえ、山を移すほどの完全な信仰があっても、
愛がなければ、わたしは何ものでもない。
たとえ、全財産を貧しい人に分け与え、たとえ、賞賛を受けるために自分の身を引き渡しても、
愛がなければ、わたしにはなんの益にもならない。
――コリント人への第一の手紙


シンフォニック=レイン』という作品の抱えるテーマとは何だったのか。それは「嘘」でも「偽り」でもなく、「奇跡」でもなく、まさしく『愛』そのものである。真理が正統性を失い、目指すべき方向は定まらず、呆れるほどのニヒリズムに満ちたこの世界においては、ただ『愛』、ただそれだけが、我々が信じるべき全てなのだ…。
さて、このようなことを言葉で書いたところで、誰が「その通り、愛が全てだ」と頷くだろう。言葉はあまりにも真理からかけ離れていて、ゆえに言葉ではけして書き表せないものは確かに存在する。
たとえば圧倒的な感動を、嬉しさと悲しさの入り交じったこの物語の結末を、我々はどのように表現すればよいのだろうか。「感動」? 「素晴らしい」? 「痛い」? どれも何かが、絶望的に違う。言葉では語れないものは、間違いなく存在する。

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