2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

 はじめての構造主義

レヴィ・ストロースは、主体の思考の手の届かない彼方に、それを包む、神話的な思考の領域が存在することを示した。それが神話である。神話は、一定の秩序――個々の神話の間の変換関係にともなう<構造>――をもっている。この<構造>は、主体の思考によって…

 シンフォニック=レイン

この圧倒的な愛。腐り果てた萌えオタ=私への福音。なんと言うべきか、世界に神さまはいるんです。たぶん。信じる人にも、信じない人にも。それを神というかどうかは人それぞれで、別に「努力」でも「幸運」でも良い。ただ世界には何か、とてつもなく崇高な…

 シンフォニック=レイン

聖土曜日。聖なる三日の最後の日。復活徹夜祭。 『シンフォニック=レイン』はまさに総合芸術である。しかも、演じ手、歌い手共に知覚しうる限り失敗のない状態で世に送り出すことができる上に、映像としてのすべての配役を想いの通りに創造し、加えてすべて…

 Ritzberry Fields 『四月の雪』

朝起きたら雪が降っていた。一月早いけれどここは京都、彼女がかつて暮らした(であろう)北イタリアではない。四月に雪が降ることはほとんどないし、何よりもう完全に春だから、少々繰り上げてこの歌を味わいたい。

 3/25 聖金曜日

『主にまかせよ』 主にまかせよ、汝が身を、主はよろこび たすけまさん.しのびて 春を待て、雪はとけて 花は咲かん.あらしにも やみにも ただまかせよ、汝が身を.主にまかせよ、汝が身を、主はよろこび たすけまさん.なやみは つよくとも みめぐみには 勝つ…

 Ritzberry Fields

岡崎律子という歌い手が、少なくとも西洋思想に深い影響を受けていたことは疑うべくもない。彼女の歌う歌はどれも、とてつもなく哀しい。哀しすぎて、透き通った美しさがある。この『約束』はミンキーモモ第2作のEDテーマ。そもそもミンキーモモとは子供の…

 MISERERE

「ドイツ・グラモフォンの選りすぐりの名演が1枚1890円で楽しめる《ドイツ・グラモフォン・ニュー・スーパー・ベスト101》。教会に響きわたる中世やルネッサンスの宗教曲の歌声。安らぎに包まれる」 こんな歌を聴いて安らげる人はもはや地上において楽園の住…

 聖木曜日

なんてことを言っていたら、どういうわけかエホバの証人の人が来訪。「今夜の会合に出席されてはいかが?」 丁重にお断りした。今日は最後の晩餐の記念の日。明日は受胎告知の記念日であり、キリストの受難の記念日でもある。http://ja.wikipedia.org/wiki/%…

 運命、世界にこんな物語があるという奇跡

SR

運命という日本語に対応する英語として、DESTINYとFATEという二つの言葉があげられるでしょう。FATEという言葉は、破滅としての運命を意味します。空しく悲しい結末としての運命。これでお終い。それがFATE。そしてDESTINYとは、それら幾つものFATEの先に、…

 シンフォニック=レイン この嘘だらけの世界で

SR

ではなぜ、私たちは『愛』だけを信じるべきなのでしょうか。真実のない世界で、どうして『愛』だけが、物語を結末に導くことができたのでしょうか。正直に言いましょう。私は、この部分に明確な結論を下すことはできません。 ただ、それこそが『シンフォニッ…

 愛がなければ、全ては空しい

SR

トルタエンド以外のクリスの選択は、常に彼に「許し」という行動を行わせていたことに注目してください。例えばファル。例えばリセ。フォーニエンドの描写さえも、『愛』ではなく、「許し」なのです。クリスはトルタとの『愛』を選ばず、常に「許し」を与え…

 ”この世界”の嘘と真実  それは私たちの世界の真実

SR

雨は、偽りでした。なのに、雨が、真実を教えてくれた。でも、その真実とは、気づかぬ限り嘘でした。私たちは気づかない限り、一生でも「嘘」を「真実」だと思い続けてしまう。そこに「本当のこと」があるとしても、それがわからなければ意味がないのです。…

 ――『僕は、アルが好き』

SR

はい。これこそが、『シンフォニック=レイン』最大の「嘘」です。彼は「本当はトルタが好き」なのです。なのにそれに「気づかない振り」をし続けているのです。そう、この物語で最大の嘘つきは、トルタではなく、クリスです。だから、彼がその嘘を暴かれな…

 ではいったい、「何が」おかしいのか ――そして「誰が」偽っているのか    Natale

SR

納得がいかない。どうして、アルを思い続けたら、こんな結末になってしまったのでしょうか。そう、そこには間違いなく、まだ何か、極めて重大な嘘が残っています。だから、この疑問は、「結局、クリスは誰が好きなのか」という疑問にこそ、置き換えて考えら…

 端的に言いましょう

SR

・フォーニエンドで、最後にクリスの側で微笑んでいるアルは、トルタです。奇跡など、起こっていません。どちらかといえば、呪いです。アルは死にました。それでもトルタは、アルの振りをし続けるしかない。フォーニエンドとは、『シンフォニック=レイン』…

 私はこう考えました。

SR

・da capoとは「初めに戻ってやり直し」という意味を持つ→実際に、思い出すと、da capoはどれもこれも何か問題があり(そうでしょう?)、最終的にal fineに辿り着くまで何度も「初めに戻ってやり直」さなければならなかった。da capoに含まれるエンドは、そ…

 私がフォーニエンドに対し、抱いた数点の疑問

SR

・それはなぜ、「da capo」内に存在するのか・それはなぜ、「ゲームクリア」と叫ばれないのか・そこではなぜ、他のエンドと同様、「星空を飛ぶ光」が描かれたのか・なぜそこだけで、アルが甦った――すなわち「奇跡」が起こったのか

 シンフォニック=レイン考察  「Erogamescape」投稿より

SR

これまで色々と試行錯誤してきた「考察」、あるいは「読解」が、一通り結論付けられたと考えます。そしてそれがつまり、この作品が持つ意味であり、テーマであるとも。ただ、まだわからないことはありますし、まだまだ読み解けたとは考えていません。けれど…

 新約聖書入門

たとえ、人間の不思議な言葉、天使の不思議な言葉を話しても、愛がなければ、私は鳴る銅鑼、響くシンバル。たとえ、予言の賜物があり、あらゆる神秘、あらゆる知識に通じていても、たとえ、山を移すほどの完全な信仰があっても、愛がなければ、わたしは何も…

 シンフォニック=レイン

SR

たとえ、人間の不思議な言葉、天使の不思議な言葉を話しても、愛がなければ、私は鳴る銅鑼、響くシンバル。たとえ、予言の賜物があり、あらゆる神秘、あらゆる知識に通じていても、たとえ、山を移すほどの完全な信仰があっても、愛がなければ、わたしは何も…

 目覚めよと呼ぶ声が聞こえ

SR

グレゴリオ聖歌のモノフォニーに不満を感じ出した西洋の音楽愛好家たちは、聖歌を下歌にしてもうひとつ上歌をつけた。そして、この2声にもうひとつ上声を加えたときに、面白いことが起こった。この3声はあるときに協和し、別の時には不協和になる。それなら…

 シンフォニック=レイン

SR

クリス。 目を覚まさない。大丈夫だろうか。熱がある。私が悪かったの。お腹は空いていないんだろうか。お願い、目を覚まして。いつから眠ってるの? ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったのに。トルタに任せなくちゃ。私じゃ駄目なんだ。クリス。どうし…

 シンフォニック=レイン

SR

驚くことはない。あなたは全世界を背負っていたのだ。私は、あなたが探し求めていた―― 少なくとも、これだけは言える。『シンフォニック=レイン』とは、何だったのか。それは、「クリスが彼の本当のココロに気づく」という、ただそれだけの物語である。

 シンフォニック=レイン

SR

トルタは僕にとって、なんなんだろう…と。昼に、おじさんは恋人のようだと言った。でも実際は、僕たちはただの幼なじみで、同じ学院に通う親友だった。でも、それだけではない。そう割り切ってしまえるほど、浅い関係でもないような気がする。それを言葉にし…

 シンフォニック=レイン

SR

以前、私は『シンフォニック=レイン』に、奇跡は起こらなかった、と書きました。でも今ではそれを否定できます。なぜなら本当は、あの世界には、初めから奇跡が起こっていたから。奇跡、それは絶対に起こらないはずなのに、なぜか起こってしまったもの。そ…

 反哲学史

見えるもの、聞こえるもの、感じるもの、そのすべてを疑うこと。そこにはなにか、残るかもしれない。なにも残らないかもしれない。でも、どこかその先に、本当のことはあると信じたい。だから 世界はあまりに不確かだ。どうして世界はこんなに理不尽で、こん…

 月森さんぽ様へ

SR

id:tsukimori:20050304#p1 森の十字路伝説 トラックバックを頂き、ありがとうございます。お礼が遅れてしまい、申し訳ありません。ご存じかもしれませんが、しばらくイタリアへ旅行に行っていたのでした。研究にかこつけて、シンフォニック=レインの聖地巡…

 シンフォニック=レイン

SR

今こそ言いましょう。本作は間違いなく、歴史的な何かです。ゲームだと思わず、小説だと思わず、書物だとさえ思わずに、「見えるもの」と「見えぬもの」、その全てに、静かに目をこらすこと。そうすればいつか、”読むこと”の難しさ、恐ろしさ、そしてなによ…

イタリア旅行の日記を書いているところ。出発前に挽いた豆でカフェラテを淹れたら案の定胃が悪くなった。やっぱり捨てるべきものは捨てる。これが大事。

 エスプレッソの扉

http://www.espresso.jp/index.htmあんな苦くて不味い液体を飲む人間はどうかしているのではないか、アホではないか、マゾではないかと思われがちなイタリア系コーヒー、エスプレッソ。実は体に良いんだ、という主張はさすがにどうかと思うけれど、きちんと…